最終確認:2026年9月17日
東京消防庁の消防官採用試験では、第2次試験で身体・体力検査が行われます。令和8年度に公表されている体力検査は7種目です。
この記事では、元東京消防庁職員の視点から、公式に確認できる事実と非公表の事項を分けて整理します。断定的な「合格ライン」に惑わされず、けがを避けながら準備するための実践ガイドです。
先に結論|令和8年度に確認できるポイント
- 体力検査は、1km走・反復横とび・上体起こし・立ち幅とび・長座体前屈・握力・腕立て伏せの7種目
- 視力は矯正を含む両眼0.7以上、かつ片眼それぞれ0.3以上。裸眼視力の制限はありません
- 健康度検査は胸部X線、心電図、血圧、問診です
- 各種目の回数・時間・採点方法・合格最低記録・配点は公式には非公表です
- 第2次試験全体の所要時間は約4時間です。体力検査だけの時間ではありません
実績の集計条件:消防官の累計合格者304名/集計対象373名/合格率81.5%(304÷373、小数第2位四捨五入)。2022〜2026年度の自社アンケートで合否を確認できた方を集計。※2020年〜2025年度までの月額制の入塾人数を含む。集計根拠を確認する
身体検査と体力検査の違い
身体検査は、視力・聴力など身体機能と健康度を確認する検査です。体力検査は、公表された7種目を通じて職務遂行に必要な体力を確認する検査です。
身体検査
視力、聴力、色覚、四肢関節機能、胸部X線、心電図、血圧、問診などを確認します。
体力検査
持久力、敏捷性、筋持久力、瞬発力、柔軟性、筋力に関係する7種目が公表されています。
いずれも第2次試験で実施されます。最終合格は、第1次試験、第2次試験、受験資格確認の結果を総合的に判断して決定されます。体力検査だけ、または面接だけで合否が決まると断定することはできません。
令和8年度の身体・体力検査|公式基準
| 区分 | 令和8年度の公表内容 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 身体 | 消防官として職務執行に支障がないこと。四肢関節機能を含みます | 身長・体重の数値基準は現行案内に掲載されていません |
| 視力 | 矯正を含む両眼0.7以上、かつ片眼それぞれ0.3以上 | 裸眼視力の制限はありません |
| 聴力 | オージオメータによる純音聴力検査 | 当日の案内に従って受検します |
| 色覚 | 赤色・青色・黄色を識別できるかを検査 | 異常があった場合は、眼科医の診断結果から判断されます |
| 体力 | 1km走、反復横とび、上体起こし、立ち幅とび、長座体前屈、握力、腕立て伏せ | 回数・時間・採点方法・合格最低記録は非公表です |
| 健康度 | 胸部X線、心電図、血圧、問診 | 令和8年度の公式案内に掲載された項目です |
令和8年度の身体・体力検査を含む第2次試験日程
2026年9月17日時点で、これから受験できる区分の日程は次のとおりです。いずれも身体・体力検査だけでなく、第2次試験全体の日程です。
| 区分 | 第2次試験日 | 最終合格発表 |
|---|---|---|
| 消防官Ⅰ類 2回目 | 2026年10月24日 | 2026年11月17日 |
| 消防官Ⅲ類 1回目 | 2026年10月24日・25日・31日、11月1日・7日・8日の指定された日 | 2026年11月17日 |
| 消防官Ⅲ類 2回目 | 2027年2月6日または7日の指定された1日 | 2027年2月22日 |
専門系とⅠ類1回目の令和8年度第2次試験は終了しています。日程は変更される可能性があるため、申込み前・受験前に公式ページで再確認してください。
東京消防庁が公表している体力検査7種目
東京消防庁が公表しているのは次の7種目です。まずは全体像を表で確認し、続く章で種目ごとの実施方法と当日の注意点を見ていきましょう。
| 種目 | 主に関係する体力 | 安全な準備の考え方 |
|---|---|---|
| 1km走 | 全身持久力 | 会話できる強度の軽い走行から始め、距離や時間を段階的に増やします |
| 反復横とび | 敏捷性 | 滑りにくい場所で切り返し動作に慣れ、膝と足首への急な負担を避けます |
| 上体起こし | 体幹の筋持久力 | 反動に頼らず、呼吸を止めない基本動作を練習します |
| 立ち幅とび | 下肢の瞬発力 | 助走なしの踏み切りと、バランスを崩しにくい着地を練習します |
| 長座体前屈 | 柔軟性 | 反動をつけず、痛みのない範囲で継続的にストレッチします |
| 握力 | 手・前腕の筋力 | 左右差を確認しつつ、過度な連日トレーニングを避けます |
| 腕立て伏せ | 上肢・体幹の筋持久力 | 頭から踵までの姿勢を保てる範囲で、反復と静止に余裕を作ります |
種目別の実施方法と当日の注意点
7種目のうち腕立て伏せを除く6種目は、文部科学省の新体力テストと同じ名称の種目です。講師が受験・指導してきた経験でも、測り方はおおむね新体力テストの方法に沿っています。ここでは、新体力テスト実施要項の標準的な測定方法と、講師の経験から「本番で記録を落としやすいポイント」を種目ごとにまとめます。
TOMO LABOどの種目も、試験官の説明と合図どおりに動けるかが大前提です。自己流で進めないことを最初に頭に入れておきましょう!
各種目の鍛え方や練習メニューは、別の記事で詳しく解説しています。


1km走


全身持久力をみる種目です。講師の経験では、東京消防庁の1km走は受験者がグループになって走る形式で行われてきました。個人でタイムを競うレースというより、決められた集団の中で最後まで走り切れるかを確認する種目だと考えてください。
気をつけたいのは、1人だけ飛び出したり、集団から大きく遅れたりすることです。消防は規律とチームワークで動く組織です。指示されたペースや並び順を守り、周囲と呼吸を合わせて走り切りましょう。
1km走は「集団の中で役割を果たす走り方」を意識する
目立てばよいという種目ではありません。指示を守らずに独断で飛び出す行動は、消防という組織の考え方に合いません。集団全体が走り切れるよう、ペースを乱さず、自分の位置で役割を果たす姿勢を大切にしてください。
「組織の中で自分の役割を果たす」という資質は、面接でも同じように問われます。体力検査だけの話ではありません。
準備としては、1kmを全力で1本走る練習よりも、一定のペースで余裕をもって走り続ける練習が効果的です。他人のペースに合わせて走ると想像以上に消耗するので、友人と並走する練習もしておくと安心です。



自分だけ良いところを見せようとして、協調性のない動きをしないように注意しましょう!
反復横とび


敏捷性をみる種目です。中央のラインをまたいで立ち、合図で左右のラインへサイドステップを繰り返します。新体力テストの標準では、ラインの間隔は100cm、測定は20秒間で、ラインを越すか踏むごとに1点です。
失敗で多いのは、急ぐあまり外側のラインに足が届いていないケースです。届いていない分はカウントされません。速さより、毎回確実にラインを踏むことを優先しましょう。ジャンプするのではなく、腰を落として低い姿勢のまま横へ送るのがコツです。



足が引っかかって捻挫する人もいます。滑りにくい靴を用意し、切り返しの動きに慣れておきましょう!
上体起こし


体幹の筋持久力をみる種目です。マットの上で仰向けになり、両腕を胸の前で組み、膝を約90度に曲げて足を補助者に押さえてもらいます。新体力テストの標準では30秒間で、両肘が両太ももについた回数を数えます。
カウントされない典型は2つです。上体を起こしたときに組んだ腕が胸から離れている場合と、倒したときに背中(肩甲骨)がマットについていない場合です。小刻みに速く動くより、1回ごとに大きく確実に往復してください。
講師の経験では、補助者が押さえるのは足首付近だけということが多いです。ふくらはぎまで抱えてもらう形に慣れている人は、足首だけを押さえてもらう形でも練習しておきましょう。



正しいやり方で、1回1回確実に回数を重ねることが大切です!
立ち幅とび


下半身の瞬発力をみる種目です。踏み切り線の手前で両足をそろえ、助走をつけずに両足で同時に踏み切って前方へ跳びます。新体力テストの標準では2回実施し、良いほうの記録を採用します。
いちばんもったいないのは着地の失敗です。記録は着地で体が触れた位置のうち、踏み切り線に最も近いところで測ります。後ろに手をついたり尻もちをついたりすると、その位置が記録になり、大きく損をします。腕を大きく振って跳び、着地では前へ倒れ込むくらいの意識を持ちましょう。



立ち幅とびの対策では、「ジャンプスクワット」がおすすめです!
長座体前屈


柔軟性をみる種目です。壁に背中とお尻をつけて長座の姿勢をとり、両手のひらを測定用の箱(台)に置いて、膝を伸ばしたままゆっくり前屈します。箱が移動した距離が記録で、新体力テストの標準では2回実施して良いほうを採用します。
やり直しや無効になりやすいのは、前屈中に膝が曲がる、箱から手が離れる、反動をつけて押し出すといった動作です。測定前に軽く前屈をして体を温めておくと、記録が出やすくなります。



柔軟性は一夜漬けでは伸びません。お風呂上がりなど体が温まっている時に毎日ストレッチするのがおすすめです!
握力


手と前腕の筋力をみる種目です。人差し指の第2関節がほぼ直角になるように握り幅を調節し、直立した姿勢で腕を自然に下げたまま、握力計を体や服に触れさせずに握ります。新体力テストの標準では左右交互に2回ずつ測定します。
力を入れた瞬間に腕が体に寄って、握力計が服に触れてしまう人が多いです。触れるとやり直しや無効になることがあるので、腕を体から少し離し、握力計を振り回さないことを意識してください。握り幅の調節を省かないことも大切です。合わない幅のまま握ると、本来の力が出せません。



力を入れると体や服に手が当たりやすいため、意識しすぎなくらい意識するのがポイントです!
腕立て伏せ


腕立て伏せは新体力テストにはない種目で、東京消防庁独自の方法で行われます。講師の経験では、試験官の号令に合わせて15回行い、15回目の姿勢のまま約30秒間キープする形式で実施されてきました。回数や保持時間は東京消防庁が公表しているものではなく、年度によって変わる可能性があります。
自分のペースでは進められません。号令より先に動いたり、遅れたりしないこと。頭からかかとまでを一直線に保ち、腰が落ちたりお尻が上がったりしないこと。この2点が崩れると、正しい1回として見てもらえないおそれがあります。
練習の目安は、ゆっくりしたテンポの腕立て伏せ15回+30秒キープを、余裕をもってこなせる状態です。本番は緊張と他の種目の疲労が重なるので、普段は20回+30秒キープまでできるようにしておくと安心です。



筋力だけでなく、指示どおりに動けるかどうかも見られていると考えて臨みましょう!
得点・配点・合格最低記録は公表されていない
「新体力テストのB評価が合格の目安」といった情報を見かけますが、新体力テストは国民の体力・運動能力を把握するための調査で、東京消防庁の選考基準ではありません。腕立て伏せが含まれないなど種目も一致しません。
とはいえ、自分の体力が同年代の中でどの位置にあるかを知る物差しとしては役に立ちます。文部科学省の得点表と、講師が目安にしている水準は「消防士に必要な体力はどれくらい?」にまとめています。
東京消防庁の体力検査に足切りはある?
足切りの基準は公表されていません。最終合格は第1次試験・第2次試験・受験資格確認の結果から総合的に判断されるため、「この種目が何回未満なら即不合格」と言い切れる材料はありません。
ただし、安心してよいという意味ではありません。講師の経験から言えば、注意したいのは次の2つです。
- 極端に記録が低い種目がある:職務に支障がないかを確認する検査なので、1種目だけ大きく崩れるより、7種目をまんべんなくこなせるほうが安全です
- 指示に従わない・途中で投げ出す:号令を無視する、説明を聞いていない、苦しくなって勝手にやめるといった行動は、記録以前の問題になります
得意種目で稼ぐよりも、苦手種目をなくす。これが体力検査の基本方針です。そのうえで、第2次試験では個人面接も行われます。体力検査の準備に時間をかけすぎず、面接対策と並行して進めましょう。



当日はいつもより緊張します。練習では「少し余裕がある」状態まで仕上げておくのがおすすめです!
筆記・面接・体力対策の優先順位を一人で決められない方へ
東消塾の公式LINEで無料合格診断を確認する登録後に現在の受験区分や準備状況を整理できます。実績の定義・集計条件は本記事上部および集計根拠ページをご確認ください。
試験前4〜6週間の安全な準備例
次は一般的な準備例です。採用試験の公式メニューではありません。運動習慣がない方は低い強度から始め、持病・既往歴・痛みがある場合は医師や運動指導の専門家へ相談してください。
1週目|現状確認
7種目に関係する動作を無理なく試し、苦手・痛み・左右差を記録します。記録を競うよりフォーム確認を優先します。
2〜3週目|基礎づくり
軽い持久系運動と自重を含む筋力トレーニングを組み合わせます。連日同じ部位を追い込まず、休養日を設けます。
4〜5週目|7種目への適応
切り返し、跳躍、体幹、柔軟性、握力、腕立て伏せを偏りなく練習し、動作の安定を確認します。
最終週|疲労を残さない
練習量を抑え、睡眠・食事・水分補給を整えます。直前の急な追い込みや新しい高負荷メニューは避けます。
厚生労働省は、成人の筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。ただし、これは健康づくりの目安であり、東京消防庁採用試験の合格基準ではありません。詳しくは厚生労働省「筋力トレーニングについて」を参照してください。
週ごとのメニューの組み方や種目別の鍛え方は「消防士に必要な体力はどれくらい?体力試験の確認方法と安全なトレーニング計画」で詳しく解説しています。
試験当日に失敗しないための確認
- 集合時刻・会場・持ち物を受験票と公式案内で再確認する
- 体調不良や痛みを隠して無理に追い込まない
- 自己流の手順ではなく、当日の係員の説明と合図に従う
- 種目間は落ち着いて水分を取り、次の説明を聞き逃さない
- 用具・床面・周囲を確認し、安全を優先する
公式FAQでは、指定日に受験できなかった場合の後日受験はできないと案内されています。直前のけがを避け、受験日に合わせて疲労を調整してください。
Ⅰ類の変更点や試験日程は「【令和8年度】東京消防庁Ⅰ類の変更点」、面接対策は「東京消防庁の面接で聞かれること」もあわせて確認してください。
東京消防庁の身体・体力検査でよくある質問
Q. 体力検査の合格最低記録はありますか?
A. 東京消防庁は、種目別の最低記録、採点方法、配点、判定方法を公表していません。特定のタイムや回数を公式基準として断定することはできません。
Q. 腕立て伏せは何回できれば合格ですか?
A. 回数、テンポ、姿勢保持時間は公式非公表です。正しい姿勢で反復できる基礎体力を整え、当日の係員の説明に従ってください。
Q. 1km走はグループで走り、協調性も評価されますか?
A. 公式案内では、走行方式や協調性・リーダーシップを採点するかは公表されていません。自己判断で隊列や先頭を意識せず、当日の指示を優先してください。
Q. 眼鏡やコンタクトでも受験できますか?
A. はい。視力基準は矯正を含む両眼0.7以上、かつ片眼それぞれ0.3以上です。裸眼視力の制限はありません。
Q. 身長・体重に数値基準はありますか?
A. 令和8年度の公式案内には、身長・体重の数値基準は掲載されていません。身体・体力・健康度の検査と他の試験結果を総合的に判断して最終合格が決まります。
Q. 男女で体力検査の種目は違いますか?
A. 公式ページは男女別に種目を分けず、共通の7種目を掲載しています。ただし、回数・記録・採点基準は公表されていません。
Q. 懸垂も試験種目ですか?
A. 令和8年度に公表された7種目に懸垂は含まれていません。採用試験対策として特定回数の懸垂を公式基準と考える必要はありません。
Q. けがで指定日に受けられない場合、後日受験できますか?
A. 公式FAQでは、指定日に受験できない場合の後日受験はできないと案内されています。無理な追い込みを避け、試験日に合わせて調整してください。
まとめ|公表情報を軸に、7種目を安全に準備する
東京消防庁が令和8年度に公表している体力検査は7種目です。出どころの分からない「合格ライン」を追うのではなく、種目ごとの実施方法を理解したうえで、7種目を安定して行える基礎体力と、筆記・面接を含む総合的な準備を進めましょう。
制度や日程は変更される場合があります。受験前には必ず東京消防庁採用情報サイトの最新案内をご確認ください。


消防官の累計合格者304名/集計対象373名/合格率81.5%(304÷373、小数第2位四捨五入)。2022〜2026年度の自社アンケートで合否を確認できた方を集計。※2020年〜2025年度までの月額制の入塾人数を含む。集計根拠を確認する






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